バルセロナ原則3.0

世界的に信頼されているバルセロナ原則が2020年に更新されたことで、コミュニケーション業界の焦点であるインクルージョン、インパクト、誠実さがより鮮明になるでしょう。

バルセロナ原則は、測定と評価に関する業界全体のコンセンサスを最初に提示してから10年、最後の更新から5年が経過しました。動きの速いコミュニケーション業界では、その間に多くの変化がありました。

そのため、2010年もしくは2015年当時には一般的とされていた慣例が、特にここ2~3年の間に大きく変化し、今では時代遅れになっている可能性があることを、バルセロナ原則3.0は認めています。さらに、より多様な組織や役割での関連性は拡大しており、測定と評価のベストプラクティスは、政府のコミュニケーション、慈善団体、NGO、その他の非営利団体においても同様に不可欠なものとなっています。

バルセロナ原則3.0:概要

ゴールの設定は、コミュニケーションのプランニング、測定、評価に絶対的に必要なものである。

コミュニケーションプランニングの基礎となる目標の設定原則“SMART(Specific具体的か、Measurable測定可能か、Actionable実施可能か、Relevant関連性があるか、Time-bound期限)”は、不可欠なものとして推進されてきました。これは、測定と評価をプランニングにおけるコアな要素とし、目標となるアウトカムと目標への進捗状況を、どのように評価するかを明確にしています。

測定と評価では、アウトプット、アウトカム、潜在的なインパクトを明らかにすべきである。

これまでの原則では、単にアウトプットを数えるのではなく、アウトカムを測定することを推奨していました。更新された原則ではこれを拡大し、コミュニケーション戦略の長期的なインパクトも考慮しています。レヴィン氏によると、これは「自分たちが影響を与えているチャネルや、キャンペーンやイベント、活動を通じて見たい変化」を考慮すべきことを意味しています。

アウトカムとインパクトはステークホルダー、社会、そして組織のために、明らかにされるべきである。

以前は売上や収益などのビジネス指標に焦点を当てていましたが、2020年の更新では、より全体的なパフォーマンスの視点が取り入れられています。今回の更新によって、必ずしも利益目的だけでなく、より広範囲の組織やコミュニケーションの役割を包括的に担えるようになりました。

コミュニケーションの測定と評価は、質的分析と量的分析の両方を含むべきである。

レヴィン氏は、定量的に測定するだけでなく、メッセージがどのように受け取られ、信頼され、解釈されるか理解するべきであるとした、原則の改善点を説明し、「実施した業務の全体のインパクトを理解するには、それらのアウトカムを測定するための一連のメソッドを使うことが重要です」とまとめました。

広告換算はコミュニケーションの価値にはならない。

このメッセージは一貫しており明確です。「AVE(広告換算値)は仕事の価値を証明するものではないと信じ続けている」ということです。コミュニケーションの測定と評価には、コミュニケーションの影響を理解するために、より深く、よりニュアンスのある、多面的なアプローチを採用することが重要です。

全体的なコミュニケーションの測定と評価には、関係する全てのオンラインチャネルとオフラインチャネルを含む。

ソーシャルメディアは測定可能であり、測定すべきであるという私たちの創設時の原則は、今日では明白なものとなっています。2020年版には、ソーシャル・コミュニケーションの力、可能性、影響力の大きな変化が反映されています。すべての関連するオンラインおよびオフラインのチャネルは、等しく測定され、評価されるべきものです。AMECの測定フレームワークは、共通の目標に向けたアプローチの一貫性を担保するため、アーンド、オウンド、シェアード、ペイドの各チャネルを明確にすることを促しています。

コミュニケーションの測定と評価は、学びやインサイトをより得られるよう、誠実さと透明性に基づくべきである。

今日、組織がGDPRなどの新しい規制を遵守するためデータのプライバシーや、スチュワードシップが注目されていることを踏まえ、健全で一貫性のある持続的な測定には誠実さと透明性が求められます。これは、測定が単にデータを収集して追跡するだけのものではなく、評価から学び、インサイトをコミュニケーション計画に応用するものであることを示しています。プログラムが実行されているコンテクストの透明性を保ち、適用されるツール、方法論、解釈に存在する可能性のあるバイアスに注意を払うことの必要性が認識されています。

バルセロナ原則3.0は、世界中の真のチームワークの成果です。この原則は、現在のコミュニケーション業界と、そこで働くすべての人々が各業界で適用できるように進化しており、今後も何年にも渡って発展し続けるでしょう。

Translation provided by

Dentsu
www.dentsu.com